モンゴルビジネスセミナー&交流会にアサノ不燃が行って来ました。

モンゴルビジネスセミナー&交流会にアサノ不燃が行って来ました。

2018年9月5日(水)13:00~TKP市ヶ谷カンファレンスセンター3F.にて国際協力機構(JICA)の主催で「モンゴルビジネスセミナー&交流会」が開催され、参加しました。

セミナーの内容の要約

開会の挨拶(田中伸一JICA参事役)に次いで第一部「モンゴルビジネスの魅力と問題/日本センターの支援」と題して中村功JICAビジネス交流支援専門家の講演が行われた。

*モンゴルの経済の牽引役は鉱業で輸出額に占める割合は91%。その為、国の経済は鉱物の価格変動に大きく左右される。鉱業以外の分野の成長育成が今後の鍵となる。
*相撲人気からか親日度は最高レベルでポップカルチャーフェスティバルも毎年、盛大に開催されており、最近では仮想通貨のマイニングファーム等の進出等も見られる。
*問題点は成功している日本企業が大変少なく、原因は以下の課題があげられる。
①国内マーケットが小さい:首都のウランバートル市の人口は140万人。周辺都市へのアクセスが良くないので商圏に含める事が出来ない。
②内陸部の為、高額な輸送コストがかかる。
③商習慣の違い:契約や仕事に対する意識の違い。契約はこれから話し合いがスタートする程度の意識なので常に最悪の状況になる事を想定しておく。
*失敗から学ぶ事例:A社の社長が日本で知り合った、日本語が胆嚢で在日期間の長いモンゴル人に出店後の運営を任せたらすぐに大赤字に・・・簿記が全くできず、仕入担当者などは仕入先からワイロを受け取るのはモンゴルでは常識で罪の意識も無いので店は繁盛しても利益につながらない(モンゴル人の常識を覆す為には優秀な日本人の常駐が絶対条件でお金の管理は全て日本人が行う事が重要)。法的に問題が起きても訴訟側弁護士と告訴された側が共謀する事も珍しくなく、裁判長さえも疑わしい場合が多々ある事を記憶しておく事も重要)。何よりも性悪説に立って物事を判断する。日系進出企業の90%は失敗に終わっている実績がある。
*海外企業の成功例(特に韓国の躍進が際立つ):トムントムスコーヒー(韓国系:25店舗)、カフェベネ(韓国系:24店舗)、イーマート(韓国系スーパー:2店舗)、サークルK(米国系:5+3店舗準備中)、その他、韓国系コンビニが多数出展して成功を収めている。

次いで第二部は「モンゴル進出企業の為の法律講座」と題して大正法律事務所の岡英男弁護士が講演。2010年から2015年までJICAの専門家としてモンゴル最高裁に赴任。モンゴルで初となる調停制度を確立する。

「法律家とどう付き合うか?」:
*弁護士:日本語を理解して法的な知識も有る通訳を探すのは難く高額。弁護士費用も外国企業や外国人に対しては国際基準が適応されるので決して安くない。日本企業や大使館等からの紹介が良い。
*公証人:身近な法律家としての公証人。費用は法的規定が有る為、比較的に安い(1回500円程)。
探し方は弁護士同様信頼できる所の紹介がベスト。安価なので何でも公的証拠とする為に公証の証書としておく事が大切(車購入や住宅賃貸、等)。
*警察官:時としてワイロで買収されて取り立て役をする時も有る。
*執行官:日本では執行官の取り立て等は歩合制なので年収2千万円を超える高給取りもいるが、モンゴルは固定給の為、執行官の勤労意欲がわかずにもたつく感がある。
*裁判官:裁判官の独立は法律で認められているので個人の判断で法解釈が自由に出来る為、いいかげんな判決を出す事も珍しくなく、控訴の約半分は控訴審でひっくり返されるので最高裁まで行くケースが多い。裁判官にもワイロを贈るケースも多々ある。
*会計士:目的にあった会計士を探す(労使・雇用問題/社会保険の問題、等。)
*公務員:いたる所でワイロを要求されるので必ず録音して内容を公証人に依頼し、証書にしてもらう事が大事。

「どうやって問題解決するか?」:
*実力行使:元相撲取り等が取り立て業者となっているケースも有ると聞く。
*話し合い:話し合いの結果は直ぐに公証役場に行って公の文書として作成する事が重要。
*裁判:管轄の問題で例え東京地方裁判所で判決が出た場合でも実行の強制力は無いので無効に等しい。時間と費用がかかる。
*調停:時間、費用、秘密、関係性、執行等にメリットが有る。
*仲裁:国際仲裁の判決もウランバートルの高等裁判所の能力が低い為に頼りにならない。
*事前の調査:転ばぬ先の信用調査はほぼ無理と考えた方が良い。

感想とまとめ

結論:日本人とモンゴル人の常識ギャップが大きく、GDPも日本の約1/10程度なので契約金額等も日本基準の1/10と考える必要があり、万一のトラブル発生時にも司法制度が日本と大分異なる事からJICA等の政府系事業(助成金事業)以外は採算性を取る事は非常に難しいと感じた。地理的にはロシアと中国に挟まれた国なので両国を相手に出来る様に地図上からは見えるがモンゴルだけでも広大な大地なので物流コストが無視できない。陸路もロシアルートと中国ルートの2本しか無く、ロシアルートは書類審査等で時間がかかり、いつになったら到着できるか判らない。モンゴルでビジネスを成功に導くのは奇跡に近いと感じた。日本語の判るモンゴル人も会場に来ているので岡弁護士も大変話しにくそうだったのが印象的だった。

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