不燃木材について【社長コラム】

私は、日本で初めて不燃木材を開発し、木材で初めて2001(平成13)年に国土交通大臣「不燃材料」認定を取得しました。当時、開発した「燃えない木材(セルフネン)」が木材として初めて、不燃材料の国道交通大臣認定[NM-0168]を取得したこがきっかけとなって、建築基準法の「不燃木材」という用語が登場しました。

不燃木材に使用されている主な薬剤は、主にリン酸系とホウ酸系を混合したもの、また、そのどちらか一方の薬剤が多く使用されています。しかし、薬剤にはそれぞれのメリット・デメリットがあり、それは不燃木材の性能に直結しています。

【リン酸系薬剤のメリット】    液状の薬剤のため、溶けやすく製造しやすい

【リン酸系薬剤のデメリット】 液だれ

リン酸系の薬剤は、含浸後に液だれを起こし、約20日間で薬剤が70g/㎤ も減ります。さらに、1か月経過すると不燃性能が維持できなくなります。薬剤が液体であるため、これは避けられない現象です。
溶脱性能確認試験 JIS A9011:2020難燃薬剤処理木材の品質管理基準等の検討、事業報告書より

【ホウ酸系薬剤のメリット】  防腐、防虫、防カビ効果がありながら、安全性が高い
参考:NPO法人ホウ素系木材保存剤普及協会「素晴らしいホウ酸塩」

【ホウ酸系薬剤のデメリット】 白華

ホウ酸系の薬剤は固形のため、水に溶けにくく、含浸しにくいです。また、不燃木材の表面に薬剤が結晶化して白い粉が付着した状態になりやすく、拭き取れば消えますが、一時的にでも見栄えが悪く、外部など多湿度状況では白華を繰り返し不燃性能が低下してしまうリスクがあります。

結果、薬剤の特性を理解しデメリットを解消する必要があります。

不燃木材を使用する際は、認定番号だけで採用する前に、認定取得内容と薬剤の確認、そして「JIS A 9011;2020」にて薬剤処理方法を確認、さらに、コーンカロリー機による不燃性能の確認をしてください。また、経年劣化によるデータや実績を確認してください。


【当社の薬剤】
様々な薬剤を研究開発し、最終的にホウ酸系薬剤を選択。主剤の95%をホウ酸塩でデメリットを解消しました。白華現象を抑え不燃性能を確保し、防腐、防虫、防カビ効果と延焼せず煙と有害ガスを抑えることに初めて成功しました。白華現象の防止は、不燃木材の表面を独自処理後、着色塗装などを行い、さらにその上に独自に開発した専用塗装を自社で施します。
事実、ショールームに展示している約20年前の製品は、乾湿を繰り返した現在でも白華していません。つまり、薬剤は不燃木材の中に保持され不燃性能を確保しています。

また、ホウ酸は溶けにくい性質で通常20%程度の水溶液ですが、当社は独自研究開発・ノウハウを活用することにより、世界で初めてホウ酸塩を60%の高濃度水溶液にすることに成功しました。現在、素材ごとに最適な薬剤、かつ、製造ノウハウの活用で様々な不燃化商品の製造が可能になっています。[特許3485914][特許6804381]


 

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