2月に「兵庫県防火地域県産材利用促進研究会」が現地見学会を開催、アサノ不燃の納入現場も見学
兵庫県の農政環境部農林水産局林務課に事務局を置いて、県の林業や建築の関係者・市町の建築関係者と学識経験者とで作っている「兵庫県防火地域県産材利用促進研究会」で都内の木造耐火建築物と不燃木材を用いた内装木質化の事例について現地見学会が2月に行われました。現地では建築主や設計の方からも直接ご意見等を聞く事で兵庫県で同様の事例を行う場合の課題等についての検討をしていく事になります。
不燃木材の事例としては株式会社アサノが納品をしている「北里柴三郎記念室」を見学をして頂きました。見学にあたり学校法人北里研究所の管財部の方と設計を担当された日本設計のご担当者から、主旨をご説明頂きました。
熊本県小国町の小国杉の内装使用をする為に難燃薬剤処理データに基く不燃化が確認出来る事が条件として採用された事の説明を真剣に研究会員に聞いて頂く
北里柴三郎先生の生誕の地、熊本県小国町の先生のご生家が「北里柴三郎記念館」がなっております。そこには地元の小國杉が使われております。北里大学の増築に伴い大学敷地内に「北里柴三郎記念室」を併設をする事になり、その内装に小国町の杉を使う構想が始まりました。そこで果たして小国の杉が内装制限の不燃材として難燃薬剤処理が出来るかの課題がありました。
株式会社アサノ不燃の「スサノオ」は、地域材の難燃処理は地域材の性格を地域と一体になって確認をして行っている
小国杉も同様に確認を行いました。小国杉には「アヤスギ」「ヤブクグリ」の2品種があります。2m材の19mmと27mmの杉板材(板目三方無節、柾目三方無節)65本を薬剤含浸量、薬剤分布、コーンカロリー試験を行い、不燃処理により不燃認定品としての使用が可能である事を確認をしました。今回は小国町森林組合と共同で作業をすすめ、小国町が独自にもっている乾燥技術での確認も行った事も説明されました。
意匠面やコスト面でも工夫がなされました
特に今回は壁面の意匠として柾目のうづくりを使った事が説明されました。その為には難燃薬剤が含浸しにくい赤身(杉の木の赤いところ)が極力少なく柾目でも薬剤含浸量が安定をしていた「ヤブクグリ」を採用しました。また天井面は無垢材では無く、アサノの突板材「スライスウッド」の特注として小国杉を突板加工をして採用されました。小国町の観光地にもなっている「鍋の滝」をモチーフにしたルーバー材も難燃処理がされております。
最後に「北里柴三郎記念室」の前で参加者と記念撮影をしました
「兵庫県防火地域等県産木材利用促進研究会」は防耐火規制等により木材利用が低位となっている非住宅や中高層建築物のおける兵庫県産木材の利用を図るため、耐火部材等の技術開発にかかる現状及び防火地域等で木材を利用するための課題等は調査研究し、「ひょうごの木」利用拡大協議会 公共・民間施設木造・木質化推進部会の取組みと連携することで、もって木材利用を通じた森林の健全な育成に資することを目的としております。